久しぶりに恩師に会い、学校にいたころに書いた文章を読んでもらいました。返ってきたのは「感動した」という一言でした。そのとき、在学中に別の先生から聞いた言葉が、ふっと頭に浮かびました。
教わったことの意味が、あとになってわかった経験はありませんか?
授業や研修で聞いた言葉を、そのときは「そういうものなんだ」と受け取っただけ。
ところが何か月もたってから、ある出来事をきっかけに「あれはこういう意味だったのか」と腑に落ちる。
そんな経験がある人も、いるのではないでしょうか。
この記事では、恩師との再会をきっかけに、学校で聞いた「AIに変えられないもの」という言葉を、卒業から半年たってようやく自分のこととして実感した話をまとめます。
そしてその気づきが、Webデザインを学ぶ私の「ポートフォリオサイト(自分の作品や経歴をまとめて見せるWebサイト)のあり方」をどう変えたのかも整理してみました。
この記事でわかること
- 恩師に文章を読んでもらった日に起きたこと
- 文章が苦手な私が、当時どんなふうに書いていたのか
- 「AIに変えられないもの」という言葉が、半年後に実感に変わった理由
- AIに任せられることと、自分にしか持てないものの違い
- ポートフォリオを「できることの証明」から「仕事の理由を伝える場所」へ考え直したこと
結論
AIは文章を整えたり、分かりやすくまとめたりすることを手伝ってくれます。一方で、自分が何を体験し、そのとき何を感じ、そこから何を考えたのかは、自分にしか持てないものだと感じました。その「自分の体験から生まれた意味」こそ、ブログやWebサイトで伝えていきたいものなのかもしれません。
まずは、その日に何があったのかから振り返ってみます。
久しぶりに会った恩師に、昔の文章を読んでもらった日
その日、私は久しぶりに恩師の先生に会いました。
そこで、以前学校で書いた文章を見てもらい、添削をしてもらいました。
読み終えた先生から返ってきたのが、「感動した」という言葉でした。
文章を直してもらうつもりで見せたものに、思いがけない言葉をもらった形です。
私はもともと、文章を書くことが得意ではありません。
その文章も、当時かなり頑張って書いた記憶がありました。
苦手なりに向き合って書いたものだったからこそ、この一言は特別に響きました。
文章が苦手だった私が、当時考えていたこと
当時の私は、文章をきれいに整えることを目指していたわけではありませんでした。
上手な言い回しや、かっこいい表現が思いつく方でもありません。
その代わりに意識していたのは、次の3つを考えながら書くことでした。
- これはどういう意味なのか
- 自分はこの経験から何を感じたのか
- なぜそう感じたのか
きれいな文章にすることより、自分の中にある感覚を言葉にすることを優先していた。
今思えば、そんな書き方だったように思います。
上手さでは勝負できない分、自分が感じたことからは離れないようにしていました。
Photo by Aaron Burden on Unsplash
誤字も多く、何度も書き直しながら、それでも「自分が感じたこと」だけは手放さないようにしていました。
学校で聞いた「AIに変えられないもの」という言葉
在学中、別の先生からこんな話を聞いたことがあります。
AIに変えられないものがある。それは、実際に体験したときの感想や思い。
正直に言うと、そのときの私は、この言葉の意味を深く理解していたわけではありませんでした。
「そういうものなんだ」と受け止めて、言われた通りに、自分の体験や思いを文章に書いていただけです。
言葉としては覚えていても、自分の実感にはなっていない。
今振り返ると、当時の私にとってこの言葉は、まだ「教わったこと」の段階にあったのだと思います。
卒業して半年、言葉の意味が「実感」に変わった
卒業してから半年ほどたった今回、恩師に「感動した」と言ってもらったことで、あの言葉がふいによみがえりました。
そして「先生が言っていたのは、このことだったのかもしれない」と感じました。
恩師の心を動かしたのは、文章の上手さではなかったように思います。
文章が苦手な私が、それでも自分の体験と向き合い、感じたことを自分の言葉で書いた。
その部分が伝わったのではないかと、今は考えています。
当時は「教わったこと」だった言葉が、半年後に「自分で実感したこと」に変わった。
この変化そのものが、私にとって大きな学びでした。
学びには、その場で理解できるものだけでなく、時間がたってから自分の体験と結びついて初めて分かるものもあるのかもしれません。
AIに任せられることと、自分にしか持てないもの
Photo by Hal Gatewood on Unsplash
AIにできることは、ここ数年で一気に広がりました。
たとえば、次のようなことはAIが得意としている部分です。
- 文章を読みやすく整える
- 分かりやすくまとめる
- 目を引く宣伝の言葉を考える
- 情報を整理する
どれも心強い力で、上手に頼れば作業はずっと楽になると思います。
一方で、今回の出来事を通して、AIに代わってもらえないものもはっきり見えてきました。
- 自分が実際に体験したこと
- そのとき何を感じたか
- なぜそう感じたのか
- その経験から何を考えたのか
こうした「自分の体験から生まれた意味」は、自分自身にしか持てないものです。
文章を整える作業はAIと分け合えても、その中身になる体験までは分け合えません。
「体験した人だから書ける言葉」に価値があることを、今回あらためて実感しました。
ちなみに、Googleが検索結果の質を評価するときの考え方でも、「経験」が評価の観点の一つとして紹介されています。
実際に使った人、実際にその場にいた人の視点が、情報の信頼につながるという考え方です。
検索のためだけに体験を書くわけではありませんが、私が感じたことと方向が重なっていて、心強く感じました。
ポートフォリオは「できることの証明」だけでいいのか
この気づきは、今考えている自分のWebサイトにもつながっていきました。
これまでの私は、ポートフォリオを「何ができるかを証明する場所」だと考えていました。
「Webサイトを作れます」「こんなデザインができます」と、能力や実績を並べるような形です。
もちろん、それも大切な役割だと思います。
ただ、それだけでは「この人にお願いしたい」と思ってもらう理由としては、少し足りないのかもしれない。
今回の出来事をきっかけに、そう考えるようになりました。
そこで、サイトの役割をもう一つ加えることにしました。
自分がなぜこの仕事をしている人なのかを伝える場所。
卒業制作のポートフォリオで意識したことは「卒業制作のポートフォリオで意識したこと|Webデザインの専門校での学びの記録」でくわしく書いています。
私の経験と、Web制作のつながり
私の場合、Web制作の前には、子ども・教育・療育などに関わってきた経験があります。
自分の中では、その経験と今の仕事が、次のような流れでつながっています。
- 子ども・教育・療育などに関わる
- 子どもの行動の背景を考えるようになる
- 環境を整えることの大切さを知る
- 自分で考えて行動できる力を大切にするようになる
- その考え方が、Web制作にもつながっている
Webサイトも、見る人が迷わず、自分で判断して行動できるように環境を整えるものだと私は考えています。
子どもと関わってきた中で大切にしてきたことが、そのままWeb制作の土台になっているのかもしれません。
こうしたつながりは、作品だけを並べても伝わりにくい部分です。
だからこそ、言葉にしてサイトに置いておきたいと思いました。
これから作りたい「この人だからお願いしたい」サイト
Photo by Nathan Dumlao on Unsplash
これからのサイトでは、作品だけでなく、次のような要素も通して自分を伝えていきたいと考えています。
- 制作物
- 制作意図(なぜこのデザインにしたのか)
- 仕事に対する考え方
- 実体験
- 学んできたこと
- これからやりたいこと
目指したいのは、「何ができる人か」に加えて「なぜこの仕事をしている人か」まで伝わるサイトです。
そのうえで、見た人に「この人だからお願いしたい」と思ってもらえたらうれしいです。
このブログも、その一部だと考えています。
今回のように、出来事と、そのとき感じたことと、そこから考えたことを、自分の言葉で残していく。
その積み重ねが、私という人を伝える材料になっていくのではないかと思います。
この記事のまとめ
恩師に昔の文章を読んでもらい、「感動した」と言ってもらったことで、在学中に聞いた「AIに変えられないもの」という言葉の意味を、半年越しに実感しました。
文章を整えることはAIに手伝ってもらえても、体験とそこから生まれた思いは、自分にしか持てません。
その気づきから、ポートフォリオを「技術を見せる場所」だけでなく、「経験・考え・仕事の理由まで伝える場所」として考えるようになりました。
「AIに何ができるか」だけでなく、「自分にしか語れない経験をどう価値に変えるか」。
これからのWeb制作とブログで、少しずつ形にしていきたいと思います。
私のプロフィールは「はじめまして」、これまでに作ったWebサイトやデザインは「ポートフォリオ」にまとめています。制作のご相談は「お問い合わせ」からどうぞ。
よくある質問
Q. 文章が苦手でも、体験を書く意味はありますか?
A. 私自身、文章は得意ではありません。それでも、意味や感じたことを考えながら書いた文章が、恩師に届いたと感じています。上手さより、自分の体験と向き合うことが伝わる場合もあるのかもしれません。
Q. AIで文章を整えるのは、よくないことですか?
A. 私は、文章を読みやすくしたり情報を整理したりする場面でAIに助けてもらっています。そのうえで、中身になる体験や思いは自分で考えるように意識しています。役割を分けて使うのがよいのではないかと考えています。
Q. 教わったことがすぐに理解できなくても大丈夫ですか?
A. 私の場合、在学中に聞いた言葉の意味が分かったのは、卒業から半年後でした。その場で分からなくても、あとから自分の体験と結びついて腑に落ちることもあるのだと感じています。
Q. ポートフォリオには作品以外に何を載せるとよいですか?
A. 私は、制作意図、仕事に対する考え方、実体験、学んできたこと、これからやりたいことなどを載せたいと考えています。「なぜこの仕事をしているのか」が伝わると、見る人がその人を理解しやすくなるかもしれません。
Q. Web制作と、これまでの経験はどうつなげればよいですか?
A. まずは、過去の経験で大切にしてきた考え方を書き出してみる方法があります。私の場合は、子どもと関わる中で知った「環境を整える大切さ」が、Web制作の考え方にもつながっていると気づきました。
